母の嘘

私が大人になるまでずっと知らなかったというか、大人になって初めて知ったこと。

3歳くらいの遠い記憶。

当時マンションに住んでいました。

そしてカメを水槽で飼っていました。

私が生まれて初のペットだと思います。

ですがそれはとても切ない思い出で、ある朝起きるといつものカメさんが水槽にいません。

あの空虚な切ない気持ちを大人になってからでも時々思い出す私がいました。

 

母にカメさんがいないと伝えると、母がカメさん家出しちゃったみたいでいないのよねと言って私は家中を探し回り、マンションの1階に住んでいたので小さなお庭を隅から隅まで探しました。

毎日一緒に暮らしていたものが急に居なくなる寂しさなんとも埋められない自分ではどうにもしようのない悲しさを初めて知りました。

 

そしてその悲しさを今でも忘れられない話を大人になったある日母にしました。

するととんでもない事実を知らされることになりました。

 

母は、えーあれ本気にしてたん?今まで??何十年も 笑

というのです。

 

どうやら当時、ミドリ亀の寄生虫で、幼い子供が亡くなったというニュースが流れていたそうでそのニュースを見た母はすぐさまマンションの小さなお庭の外の草むらに亀さんを若干ブーメランのように遠くへ放ったらしいのです。

母強し 笑

亀もさぞかし驚いたと思います。草むらは途方もなく大きくて亀さんが住むには最適で放り投げてもフカフカの草の生い茂るところだったので、ブーメランでも大丈夫だとは思います。

亀さんも自由になれて実は大喜びだったでしょう。せまいマンションのせまい水槽より、ブーメランで飛んで行って自由を手に入れ、母は安心を手に入れ、そして私は守られてることも知らずに何十年か、思い出してはせつなくなっていました。こんなに時を隔てて亀さんの家出事件の真相が明らかになるなんて、思いもよらず、そして今や今まで信じてた私を笑う母がいました。微笑ましく笑うではなく、アホやなー的な笑いの母でした。

 

お母さんありがとう。私はミドリ亀の寄生虫で死なずに今日まで生きております。サンキューです。

ただ私は嘘も信じるタイプなのでお母さん私に嘘つく時はほどほどにお願いします。

今週のお題「おかあさん」